動物性原料を使わないヴィーガン認証とは?|認証マーク解説:第4弾

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みなさんは、日常で商品を購入する際、どれぐらいの認証マークを意識しているでしょうか?
ヨーロッパやアメリカなどに旅行先で見かけて、意識し始めたという方も多いかもしれません。
日本では認知不足もあり、取得している企業や商品が少ないのが現状です。

その中で、eco.veda商品はさまざまな種類の認証マークを取得しています。
ただ、日本社会でまだまだ認知度が低いものも多く、認証マークだけを見ても「これは一体どいう意味だろう…?」と疑問だけが残る場合も多いのではないでしょうか。
実は、わたしもそのひとりでした。

そこで今回は、eco.vedaの商品群が取得している認証マークを基準にしながら、それぞれのマークがいったいどのような意味を象徴しているのか、ご紹介したいと思います。
シリーズ第4弾としてご紹介するのは「ヴィーガン認証」です。

そもそも、ヴィーガンとは?

Vegan(ヴィーガン)とはベジタリアン(菜食主義)のひとつです。
ベジタリアンの中でも、特に厳しい基準で食べ物を選んでおり、乳製品や卵を含む動物性の食品を一切口にしないことが特徴です。また、食べ物以外の革製品やファーも含めた身の回りの製品においても、動物由来の原料を一切使わない商品を選ぶ「エシカル・ビーガン」の人たちも増えています。

ヴィーガンという言葉については、すでに聞き馴染んでいる方や、どこかで聞いたことある方も多いと思いますが、日本でも、2000年代から使われ始めている言葉ですが、ヴィーガンという呼称自体は「不可能でない限り動物の搾取を避ける主義」を表すヴィーガニズム(英:veganism)から派生した言葉で、1944年のイギリスでヴィーガン協会(The Vegan Society)が設立された際に命名されたと言われています。

ヴィーガンとベジタリアンの違いとは?

ヴィーガンとセットで「ベジタリアン」という言葉も聞くことがありますが、この2つの違いは何でしょうか。
まず、ヴィーガンとはベジタリアン(菜食主義)のひとつということ。
そのため、ベジタリアンはヴィーガンを含む菜食主義者全体を指す言葉になります。

ベジタリアンは、何を食べるかでレベルが分かれ、呼び方も異なります。
例えば、TPOに応じて柔軟に食事を選択するフレキシタリアンや、魚、乳製品、卵は食べるがお肉を一切とらないペスカタリアンなどと呼ばれています。
そのベジタリアンのレベル分けの中で、特に厳しい基準で食べ物(乳製品や卵を含む動物性の食品を一切口にしない)を選んでいるのがヴィーガンです。

なぜ、ヴィーガンが増えているのか?


背景として、健康維持や体質改善等の手段としてベジタリアンを軸とした食生活をしていることが挙げられます。まずはライトにベジタリアンを始めた人たちが、次に持つ課題意識として上がってくるのが、動物愛護と環境保護の観点です。

動物愛護

ヴィーガンに移行する多くの方が「動物の権利を奪わずに、共存できるライフスタイルはできないのか?」と考えています。例えば、猫や犬は愛され家族同然の扱いを受けているのに対して、豚や鶏を抵抗なく食べたり、うさぎや牛を殺して革製品をファッションとして利用したり、人間の安全性の検証のためにうさぎやねずみ等で実験を行っています。

このように人間中心の考え方による動物への搾取・虐待がある中で、それを少しでも無くそうという活動がヴィーガンとしての行動につながっています。

環境保護

気候変動や海洋プラスチック問題などがニュースで取り上げられることも多く、環境保護問題への関心が高まっています。一方で、食生活と環境保護とはすぐにつながらないと感じる方も多いと思いますが、密接な関係があります。

まず、現代社会で家畜(動物)を食料として育てるためには、水、土地、穀物などの資源を大量に消します。例えば、全世界の水の使用料の7割が畜産業界で使用されています。そして、牛肉1kgを生産するために約11kgの穀物が必要だと言われています。

(参考:https://www.maff.go.jp/j/nousin/keityo/mizu_sigen/pdf/panf02_j.pdf
https://www.maff.go.jp/j/zyukyu/zikyu_ritu/ohanasi01/01-04.html

こうしたことから、畜産に回される資源を減らすことで環境負荷の軽減につなげていくというのが、ヴィーガンの考えの基盤になっています。

Vegan(ヴィーガン)認証とは?

ヴィーガンの方が商品を安心して選べるように、第三者機関が示した審査基準をクリアした製品に対して与えられる認証マークのことです。ヴィーガン認証マークがついている商品は、ヴィーガンの方が安心して購入できるよう、動物由来の原料や成分が一切含まれていないという製品になります。

ただし、世界にはヴィーガンを認証する機関がたくさんあり、それぞれの認証基準が異なっています。例えば、動物実験の有無を含めて審査する機関もあれば、あくまで動物性由来の原料や成分の使用 / 不使用の有無のみ審査する機関もあるので、注意が必要です。

Vegan Trademark(ヴィーガン・トレードマーク)

eco.vedaが取得している 「ヴィーガン・トレードマーク」は1944年にヴィーガン協会(The Vegan Society)によって発行されました。現在では、化粧品、衣料品、食品、飲料、家庭用品を含む79カ国の61,000を越える製品に対して認証を行う国際的機関です。
世界で最も古く、最も尊敬されているビーガン組織の1つで、ビーガンに優しい製品のシンボルとして国際的に認められています。

Vegan Trademarkの審査基準と更新基準

Vegan Trademarkの審査基準は以下の4つです。
更新は、毎年同様の審査基準をクリアする必要があります。

・動物性原料の有無
製品または成分の製造・開発において、動物製品、副産物、または派生物の使用が含まれていないこと
※The Vegan Trademarkが意味する動物とは、ヒト以外の動物(脊椎動物・無脊椎動物含む)すべてを意味する

・動物実験の有無
製品または成分の製造・開発の過程で、販売組織・製造委託関係者が、いかなる動物実験を行っていない / 関与していないこと

・GMO(遺伝子組み換え)の有無
GMOの開発・生産に、動物の遺伝子または動物由来の物質が関与していないこと。また、GMOを含む、含んでいる可能性がある製品を申請するには、その旨を表示すること

・製造過程での衛生基準
ヴィーガンと非ヴィーガンの製品が混在するのを避けること
ビーガン製品以外の製品を作る場合には、機会や調理器器具等を徹底的に洗浄していること
生産ラインでヴィーガン以外の製品からの汚染リスクを軽減し、商標所有者が合理的かつ実用的な措置を講じること

その他、認知度の高い世界のヴィーガン認証

ヴィーガン認証も他の認証と同様に、世界的な統一基準がありません。
そのため、国や地域差が大きく、機関によって基準が大きく異なることもあります。
詳細は、各種認定機関の公式Webサイトで確認をして、ご自身で判断することを忘れないでください。

V-Label

1966年にスイスで発足したEVU(ヨーロッパベジタリアン連合)が運営する機関で、日本でも目にする機会がある認証マーク。認証マークを取得するには、成分リストと製造プロセスに関する情報をEVUへと提供するとともに、企業の製造過程をランダムに確認するスポットチェックを実施する権利を保有している。基本的には、動物原材料の不使用、動物実験が行われていないこと、交差汚染混入防止の設備があることに加え、GMOの禁止もしている。

 

EVE VEGAN

フランスのExpertise Vegane Europe社が発行するビーガン国際認証マークで、化粧品では、パラベン・硫酸塩・ナノ物質 などの有害成分と発がん性・変異・複製生成物が含まれていないかを審査。製造施設の清潔さと交差汚染混入防止のための生産設備があるのかも審査基準に含んでいる。

 

ベジプロジェクトジャパン

日本初のヴィーガン認証を行うNPO法人。京都大学の食堂にヴィーガン基準のベジメニューを導入するというプロジェクトから始り、他大学や飲食店、自治体でのベジメニューの導入を進め、2016年からNPO法人化。ベジタリアン・ヴィーガン認証マークを発行する認証制度や、企業やまちづくりを行う行政との協業などを行っている。
基本的には、動物原材料の不使用、動物実験が行われていないこと、交差汚染混入防止の設備があることを基準として認証発行を行っている。

紹介したヴィーガン認証の比較リスト

今回紹介した各機関を比較しやすいようにリストにまとめました。

認証名 Vegan Trademark V-Label EVE VEGAN ベジプロジェクトジャパン
マーク
認定団体
(公式サイト)
The Vegan Society(ビーガン協会) 欧州ベジタリアン連合(EVU) Vegan France association (VFI) ベジプロジェクトジャパン
拠点 イギリス スイス フランス 日本
設立年 1944年 1980年 2016年 2016年
動物性原料
不使用確認
動物実験の
有無の確認
動物由来GMO不使用
確認
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ヴィーガン認証とクルエルティー・フリーの違いとは?

ヴィーガン認証とクルエルティー・フリー認証の大きな違いは、どこに重点を置いて認証を行っているかです。

ヴィーガン認証は、製造の原材料においての動物保護(劣悪な扱いを受けたり、搾取されたりしないこと)に重きをおいています。そのため、ヴィーガン認証が保証するのは、主に原材料において動物由来の原料や成分が含まれていないか、ということになります。そのため、製造途中で動物実験をした場合でも、原材料において動物由来の原料・成分を使用していなければ、ヴィーガン認証を受けられる認証機関もあるのです。

逆にクルエルティ・フリーは認証は、製造過程での動物保護(動物実験を行なっていないか)に重きをおいています。そのため、クルエルティ・フリーが認証するのは、製品の製造過程での動物実験(傷ついたり、殺されたり)が行われていないということになります。逆に言えば、動物由来の原料を由来とした製品(はちみつ、コラーゲン、アルブミンなど)を使用していても、動物実験をしていなければクルエルティ・フリーの認証が受けられます。

クルエルティー・フリーについて詳しく知りたい方は、こちらの記事も参照ください。
動物を守るクルエルティ・フリー認証とは?|認証マーク解説:第3弾

おわりに

今回は、eco.veda商品が承認されているヴィーガン認証であるThe Vegan Trademarkを軸に、いくつかのヴィーガン認証マークを紹介しました。
海外では当たり前のように広がっているヴィーガン認証ですが、日本ではほとんど認知度がないので、ぜひこれを機会に、ヴィーガン認証について、興味を持ってもらえたら嬉しいです。

ヴィーガン認証が示す多くは「動物性由来の原料を使用していない」ということです。なので、ヴィーガン認証は、オーガニック(農薬・化学肥料等不使用)や動物実験をしていない、という点は各機関によって異なるという点は念頭において、判断してください。

今回の調査の際に、公式サイト(英語)等を確認しての情報整理を行っているため、不備や間違いがあるかもしれません。また、基準などの情報更新が間に合っていないこともあります。もし、お気づきのことがありましたら、ご連絡いただけると嬉しいです。

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