みなさんは、日常で商品を購入する際、どれぐらいの認証マークを意識しているでしょうか?
ヨーロッパやアメリカなどに旅行先で見かけて、意識し始めたという方も多いかもしれません。
日本では認知不足もあり、取得している企業や商品が少ないのが現状です。
その中で、eco.veda商品はさまざまな種類の認証マークを取得しています。
ただ、日本社会でまだまだ認知度が低いものも多く、認証マークだけを見ても「これは一体どいう意味だろう…?」と疑問だけが残る場合も多いのではないでしょうか。
実は、わたしもそのひとりでした。
そこで今回は、eco.vedaの商品群が取得している認証マークを基準にしながら、それぞれのマークがいったいどのような意味を象徴しているのか、ご紹介したいと思います。
シリーズ第3弾としてご紹介するのは「クルエルティ・フリー認証」です。
クルエルティ・フリーとは?
みなさんは、クルエルティ・フリーという言葉を聞いたことはあるでしょうか?
クルエルティ(cruelty)とは「残虐性」を意味し、フリー(free)とは「OOがない」いう意味です。つまり「クルエルティ・フリー(cruelty free)=残虐性がない」ということになります。
具体的に何を指すかというと、製品の開発・製造・市場進出、販売を含む、消費者の手元に届くまでのフェーズの全てにおいて、動物を用いた実験(動物を傷つけたり、殺したり)がされていないことを表す言葉です。
動物実験とは?
動物実験という言葉を聞きますが、実際にはどんなことがされているのでしょうか。
例えば、日常的に使っている商品でも、以下のようなことが動物実験を通して行われています。
・シャンプー
頭皮への悪影響はないか?
目や口に入ったとき、失明や体内への悪影響がないか?
・日焼け止め
塗った時に肌が荒れたり、湿疹ができたり等、悪影響がないか?
実際に太陽光を浴びたときに成分が変化して、悪影響が出ないか?
・口紅
成分が口の中に入ったとき、体内に悪影響を与えないか?
・防腐剤 / 食品添加物
摂取した際、体内に悪影響を与えないか?
・新薬
副作用の出現はあるか?実際に効果はあるのか?
など、何気なく日常で使用している製品や商品のほとんどが、動物実験を行った上で販売がされています。サラッと書いてしまいましたが、1回だけでは安全性が確認できない場合も多いため、同じテストが何度も行われます。そして、実験へのストレスや、傷・怪我等で消耗した動物は、殺処分されてしまうことになり、心痛む結果となっています。
クルエルティ・フリーがうまれた背景
それでは、いつ頃から「クルエルティ・フリー」の流れができたのでしょうか。
その流れを辿ってみましょう。
元々は1950年代の半ばに、ひとりのイギリス人女性が「Baeuty without Cruelty(残虐性のない美)」というラベルをフェイク・ファーに付けてはどうかと働きかけたことがきっかけとなりました。
1970年代には、動物実験の残酷さへの理解がヨーロッパ諸国やアメリカに広まり始め、1998年にはイギリスとドイツが動物実験の廃止を決めています。また、2013年にはヨーロッパ全体で「動物実験を行った化粧品の開発、製造、販売」が完全禁止となりました。
イスラエル、台湾、ブラジル、インド、ニュージーランド、中国などでも禁止を目指す動きが出ていますが、残念ながら日本ではまだ禁止法が整っていません。
クルエルティ・フリーが世界的に広がっている理由
今まで、多くの化粧品や日用品の開発プロセスにおいて、数多くの企業が製品や成分の投与・塗布などを動物を通して行うことで、人体への安全性や有効性を確認してきました。
そのおかげもあり、多くの製品で使用されている成分の安全性と有効性についてはデータが揃い、人体への安全性も確認されています。そのため、画期的で新しい成分でない限り動物実験を行う必要はなく、各企業はこれまでのデータから製品開発を行い、ヒトを対象とした実験を行うこえばよい環境が揃っています。
また、新しい成分だとしても、動物とヒトとでは体の構造や代謝なども異なるため、化学物質に対しての反応も異なるとする専門家の声も上がっており、世界的に動物実験禁止の流れが生まれています。
信頼できる4つの国際的クルエルティ・フリー認証
クルエルティ・フリー認証を行っている認証機関は多数あり、その多くが「うさぎ」をモチーフにしています。理由は、うさぎが化粧品の動物実験に最も多く利用されているためです。
ただし、うさぎのマークが付いていれば安心かというと、そうではありません。
基準値が曖昧だったり低かったり、製品を開発している企業自体が独自に規定している認証もあり、信頼性が低い認証もあります。
(独自基準でも、しっかりとした基準で行っている企業もありますが、その場合はよく調べることが大切です。)
そのため、商品を選ぶときは、世界的に認知度 / 信頼度が高いクルエルティ・フリー認証を選択することをおすすめします。現段階で信頼ができるのは、「Leaping Bunny(リーピング・バニー)」「PeTA認証」「CCF認証」「IHTN認証マーク」の4つと言われています。
ここからは、4つの認証マークについて理解を深めていきましょう。
Leaping Bunny(リーピング・バニー)
Leaping Bunnyの成り立ち
Leaping Bunny(リーピングバニー)は、国際的認定機関であり認知度も高く、最も主要な認証マークと言われています。1898年にイギリスで設立されてから100年にわたり世界中の動物実験を終わらせるために活動している動物保護団体であるCruelty Free International(クルエルティー・フリー・インターナショナル)が認証機関です。「LUSH」や「THE BODY SHOP」なども取得していることで有名です。
クルエルティ・フリーの世界的基準として扱われてり、法的要件より厳しい基準が設けられているのが特徴です。
eco.veda商品も、Leaping Bunny(リーピング・バニー)の認証を受けています。
Leaping Bunny (リーピング・バニー)の取得基準
Leaping Bunny(リーピング・バニー)の認証を使用するためには、その製品が以下4つの基準をクリアしている必要があります。
化粧品および日用品の製品や成分について、動物実験を実施していないこと。また動物実験を行っている業者に委託を行っていないこと。
2. 動物実験を行った原料を使用しない
動物実験を実施しているサプライヤーから、成分、製剤、製品を購入していないこと。
3. サプライヤーのモニタリングを実施している
原料を購入しているサプライヤーから、CCICの基準を遵守している旨を明記した製品遵守宣言書を入手し、CCICに提出すること。
4. 海外の規制当局での動物実験を認めない
海外当局での動物実験を認めないこと。
PeTA認証
PeTA(ペタ)認証マークは、世界最大の動物愛護団体「PETA(People for the Ethical Treatment of Animals / 動物の倫理的扱いを求める人々の会)」が認証するマークです。
アメリカ・バージニア州ノーフォークを拠点とし、650万人以上のメンバーが参加する世界最大の動物愛護団体です。PETAでは「動物は、食べ物・衣類・実験・娯楽のために利用したり、その他の方法で虐待するためのものではない」を掲げています。時にレタスのドレスを着用してのデモなど、過激なキャンペーンを行うことでも有名です。
PeTAでは2つの認証制度があります。一つは動物実験をしていないことを保証する「cruelty free」のロゴを、もう一つは、動物実験に加えて、動物由来の原料を使用していないことを保証する「Cruelty-Free and Vegan」のロゴも用意しています。
残虐性(動物実験の有無)の観点から、Leaping Bunny(リーピング・バニー)プログラムと比べると、簡易な認証プロセスと認定費用の安価さ($350)により、世界で最も多くの製品が取得しています。
CCF認証
1993年から動物実験反対の啓蒙活動をしているオーストラリアの非営利団体、CHOOSE CRUELTY FREE(CCF)が与える認証マークです。
CCFの特徴としては、成分抽出のために殺傷された動物から得る成分だけでなく、動物が直接的 / 間接的に死に至る方法や、動物に痛みや不快感を与える方法で得る成分や、毛皮や食肉など他の利用のために殺された結果利用できる成分等を使用している場合は認証されません。昆虫、魚、甲殻類に由来する成分も認めていないのが特徴です。ただし、ハチミツ、蜜蝋、ラノリン、乳製品は認可しています。
IHTN認証
1979年から動物実験の廃止を求め、動物実験をしないコスメを認証しているのがドイツを拠点とするIHTNです。認定にはABN(Australian Business Number)が必要という条件があるので、オーストラリアの企業である事が条件となります。
IHTNも動物由来成分への制限を設けており、動物に苦痛を強いたもの、その成分の為に動物が死ななければならなかったものなど複数の禁止項目を設定しています。
クルエルティ・フリー認証の比較
参考までに、国際的に信頼度が高い4つの認証の比較表を作ってみました。
認証名 | Leaping Bunny | PeTA | CCF | IHTN |
マーク | ||||
認定団体 (公式サイト) |
CCIC (Coalition for Consumer Information on Cosmetics) |
PETA (People for the Ethical Treatment of Animals) |
CCF (CHOOSE CRUELTY FREE) ※サイトアクセスできず |
IHTN (Internationaler Herstellerverband für tierschutzgeprüfte Naturkosmetik, Kosmetik und Naturwaren e.V.) |
拠点 | イギリス | アメリカ | オーストラリア | ドイツ |
設立年 | 1898年 | 1980年 | 確認中 | 確認中 |
製品・成分の 動物実験禁止 |
◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
動物実験された 成分使用の禁止 |
◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
委託業者への 動物実験禁止 |
◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
サプライヤーの種類提出義務 | ◯ | × | ◯ | ◯ |
認証の更新 | ◯ (1年毎) |
× (なし) |
◯ (1年毎) |
確認中 |
抜き打ち監査 | ◯ | × | 確認中 | 確認中 |
ラインセンス料 | 売上額による (1回限り) |
$350 (1回限り) |
売上額による (1年あたり) |
確認中 |
認定費 | 無料 | 無料 | $100(1回限り) | 確認中 |
動物由来原料 使用可否 |
× (規定なし) |
× (規定なし) |
△ (一部規制) |
△ (一部規制) |
おわりに
今回は、eco.veda商品が承認されているクルエルティ・フリー認証をまとめました。
海外では当たり前のように広がっているクルエルティ・フリーの考え方ですが、日本ではまだまだ認知度が低いのが現状です。
今回、残酷な動物実験の写真は掲載しませんでしたが、みるだけでも本当に痛ましいものです。動物で実験をしないと安全性が確認できないものを使用することは、サステナビリティ / エシカルの観点からも疑問が残ると感じました。
ヒトだけでなく、動物 / 環境に対しても持続可能な環境が整うよう、消費者のひとりとして商品を選んでいきたいですね。
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